商店街活動事例

大森柳本通り商店街振興組合

 JR大森駅から徒歩約5分、「ウィロード山王」と掲げた片蓋アーケードなかほどの空き店舗活用拠点「アキナイ山王亭」。無料お休み処や市民の交流・活動の場として、さらに毎週土曜日には東日本大震災の復興を支援する「石巻マルシェ」の販売所としてフル稼働。復興支援を契機とした被災地商店主や地元市民とのネットワーク拠点は、被災地の復興支援のみならず商店街活性化への一助としても貢献しつつあるようだ。

商売道具を支援

 同拠点は地域の交流拠点との位置づけで、1階については店頭約3坪のお祭りスペースや約10坪のサロン、キッチン、トイレを、2階については2区画を提供中。区指定の「トイレ・お休み処」として開放されているほか、市民サークル等の活動拠点としても利用されている。
 長くシャッターが下りていた旧「鈴木はきもの店」がこうして空き店舗活用事業として有効活用される契機となったのは、商店街からの震災復興支援拠点としての活用の提案。その趣旨に賛同した店舗オーナーの快諾を得て、当時店内にそのまま在庫していた1,000足の靴の提供も受け、一昨年4月には商店街イベントにて1足500円でチャリティ販売している。
 とくにここで得た義援金50万円の提供先について商店街では、「あくまでも商人として被災商人を応援しよう」との思いで一致。「商売道具を購入する原資」との条件付きにて、宮城県石巻市の魚店店主が中心となって活動する団体「石巻プロジェクト」に進呈している。以来、「被災した缶詰以外は売るものがなかった」という被災当初から、「石巻マルシェ」と銘打っての物産販売や石巻ヤキソバの商店街イベント出店など継続的に支援している。

毎週土曜は復興支援拠点「石巻マルシェ」ともなる

市民協働で継続

 一方で、活動が広がるなかで恒常的な活動拠点が必要だとの声も高まった。そこで復興支援イベント時に利用してきた旧はきもの店を、昨年8月には空き店舗活用事業「アキナイ山王亭」として改装オープン。今回は、都の新・元気を出せ!商店街事業および区の商店街コミュニティ活性化事業の指定も受けて、立ち上げにかかる改装費及び今後の運営にかかる費用一部等について助成を受けている。
 恒常的な交流拠点が開設されたことで、地元市民との協働も進んだ。毎週土曜の朝10時~夕方6時に定期開設される石巻マルシェでは、趣旨に賛同した地域内外の市民ボランティアらが手弁当で協力。さらに開業時の店舗改装の際には地元建築士の参画も得たほか、運営にあたっての拠点機能としては市民団体も積極協力。地元の高齢者見守り支援団体がお年寄りの相談窓口を常設しており、山王亭は文字通り市民協働体制で支えられている格好だ。こうした取り組みが評価されて、昨秋の東京商店街グランプリでは準グランプリの栄誉に輝いている。

外部店主を誘致

 「復興支援というきっかけがなければ、旧はきもの店オーナーの協力は得られなかったかもしれない」と佐藤理事長は振り返る。景気低迷や後継者難により商店街に空き店舗はあるものの、外部テナントには貸したくないという店オーナーも多い。そこで従来より同商店街では出店希望者の公募や店舗下見ツアー、地元商店主との交流食事会など、外部から出店者を受け入れる体制づくりも行ってきた。
 そんななかで「アキナイ山王亭」の開業以降、商店街ではシャッターを開けての外部からの出店が2店舗に上るなど会員店舗数は増加傾向。「今後も山王亭を通じて商店街の拠点性を高めて、外部からの新規出店も後押ししていきたい」と佐藤理事長。被災地商人と商人をつなぐ拠点として復活させた旧はきもの店は、被災地や地元地域など内外の店・人をつなぐ拠点として着実に進化し続けていると言えそうだ。

(商店街ニュース平成25年3月号掲載)