活性化へのニューウェーブ
~活かせ!街角のデジタル看板~


 駅構内や商店街通り沿いなどに続々登場している電子広告看板「デジタルサイネージ」。これはネットワークに接続したディスプレー端末から情報発信するシステムで、従来型のアナログの広告・看板と異なり、遠隔地からの掲示データ更新やケータイとの連動など、広告媒体としての操作性・拡張性を格段に向上できる点が大きな特徴。個店の販促から市民の生活インフラ機能の補完、広告媒体としての収入源化など、未来型ツールの商店街における可能性を探った。

“よそ者”を受けれて活性化
 新宿駅前商店街にこのほど登場したのが、それぞれ46インチのディスプレー画面を搭載した2台のデジタルサイネージだ。「駅周辺には大手企業の巨大ディスプレーが乱立気味で、見せ方を差別化しなければ埋没してしまう」(同商店街事務局)との配慮から、コンテンツも一工夫。派手な音や映像によるPR宣伝トーンとは一線を画し、商店街清掃活動への参加呼びかけや街のマスコットキャラクター、行政情報などを随時放映している。
 さらに商店街が自ら制作した映像番組をデジタルサイネージで“生中継”しているのが、ハッピーロード大山商店街(板橋)だ。毎週金曜夕方に約30分間放映する「ハローTV」では、商店街でのイベントや店・商品情報などを素材に番組編成して、通り沿い4台のディスプレーと商店街公式ホームページで同時中継。長い商店街通りにディスプレーを分散的に設置することで、イベント会場への集客誘導や商店街全体の回遊性向上にも寄与している。

まち支援NPOと連携
 情報を「発信」するだけでなく、ケータイとの連動により双方向に「受発信」する機能も効果的だ。デジタルサイネージへのフェリカ対応リーダ・ライタ端末の配備や、ディスプレー画面上でのQRコードの提供などが見られる。
 自由が丘商店街(目黒)では3年前に駅南口高架下に、南口地区店舗を網羅したタッチパネル式の「J‐GUIDE(ジェイガイド)」を設置した。デジタルマップでの店情報の提供に加えて、ケータイと連動させた全地球測位システム(GPS)により、ナビゲーションする機能も搭載している。


 自由が丘商店街のデジタルサイネージでは、ケータイ端末で右下端末にタッチすると店まで道案内

 商店街ポイントとの連動も、デジタルサイネージの利用促進や、それを店舗販促につなげる大きなカギだ。五反田商店街(品川)では、昨年設置したデジタルサイネージのケータイ用端末にタッチしたうえで来店すると、ポイント加盟店で「来店ポイント」を提供するシステムを導入。当初は既存の商店街ポイントと互換性はなかったが、「ようやく昨年末に、『来店ポイント』を商店街ポイントとして加算できるように高度化した」(杉江烈 同商店街近代化推進委員長)。商店街ポイント加盟店の増強にも寄与しているようだ。
 設置にあたっての課題としては、まずは設置場所の確保がある。駅前立地型商店街では、駅構内や高架下など鉄道事業者の協力を得るケースも多い。さらにコスト面では、導入費用には行政助成を得るケースが多いものの、運用費用でも機能レベルに応じて、たとえばサーバーや専用アプリ使用料、情報更新作業など月20万円~が発生する。デジタルサイネージの広告媒体としての機能を有効活用して、「店舗や地元企業のコマーシャル媒体として広告収益ビジネス化も検討したい」(ハッピーロード大山商店街事務局)との動きも出てきている。
 加えて、商店街に期待されるのが公共インフラとしての活用だ。港区・赤坂エリアの5商店街が3年前に共同設置したデジタルサイネージは、その高度な双方向性機能を活用して、「これまでの外部からの来街者への対応だけでなく、災害情報発信や出前受注、高齢者の見守りなど、地元生活者と地元店をつなぐ目的にも活用していきたい」(城所ひとみ・エスプラナード赤坂商店街理事長)。商店街のデジタルサイネージは、広域型商店街だけでなく地域密着型商店街にとっても、今後欠かせない生活インフラへと役割を広げていきそうだ。