商店街の帰りは“手ぶら”で楽々
~地蔵通り商店街振興組合~



 大手ネットスーパーが売り上げを伸ばすなか、都内各地の商店街でも宅配事業が続々とスタートしている。【商品調達→ネット受注→電子決済→配達】をITで効率化・標準化する大手スーパーとは異なり、昨今の商店街の宅配事業では、【「まずは商店街店頭に来てもらう」→対面販売→対面支払い→配達】という流れが基本。地元客のライフスタイルに個別対応できる柔軟性や地域密着性を武器とした、商店街ならではのご用聞きビジネス・モデルを追った。

横丁便会員登録で購入額問わず100円
 文京区の地蔵通り商店街振興組合(島田幸勇理事長)で7月1日に、宅配サービス「お地蔵さんの横丁便」が本格スタートした。宅配所前で行われたオープニングセレモニーでは、成沢広修 文京区長ら来賓も駆けつけてテープカット。さっそく宅配所では「横丁便メンバーズクラブ」の入会受付も始まって、たくさんの買い物荷物を積み込んだ三輪スクーターがさっそうと“出陣”していった。
 この横丁便は半径1.2キロメートル範囲内の約2万世帯が対象で、宅配料は70歳以上および横丁便メンバーズクラブ会員は100円、商店街での購入総額2,000円以上の方は200円、それ未満の方は300円。荷物の大きさは3辺の和が90センチ(超えると100円加算)まで、重さは12キロ(-15キロは100円加算)まで。割れ物や傷みやすい物等は原則不可としているが、生鮮品などについては、店によっては配達時間まで店頭の冷蔵庫で保管するなど個店の判断で柔軟に対応。今回は商店街の約70店舗のほぼ全店参加でスタートしている。
 同商店街の宅配事業の仕組みは、(1)各店で客が買い物・支払い→(2)客が宅配所に持ち込み・宅配料支払い→(3)宅配所スタッフが指定時間に配達‐‐という流れ。水・日・祝日を除く毎日午後1-5時まで宅配所で配達を受付けて、午後6時までの配達指定に対応。宅配所開所時間前の午前中の買い物については、店頭での一時保管および店主による代理持ち込みなどで対応している。
 同商店街の宅配事業の特徴は、利用者を「横丁便メンバーズクラブ」として組織化している点だ。会員登録をすると、年会費1,000円の負担で宅配料が100円へと優遇してもらえる。一方で商店街にとっては、地元客の囲い込みや、会員の属性・履歴データの今後のマーケティング活用も見込まれる。「宅配単独で採算ベースに載せるのは難しいが、今後は福祉的な機能も取り込んで、収益ビジネスモデル化をめざしたい」(島田理事長)との抱負だ。
 これに先駆けて商店街では今春、空き店舗を活用した宅配所も開設している。1階では横丁便の専従スタッフ2名が宅配受付、配達の時間調整、配達などを担当。2階の会議室では、地元小中高生対象の「寺子屋」もこのほどスタートさせた。こうした寺子屋運営や空き店舗の改装工事、開所イベント等では地元大学生やOB生が協力しているほか、横丁便スタッフには地元町会会長が務めるなど、宅配所は商店街と地域をつなぐ拠点としても機能している。
 今回の横丁便スタッフにかかる人件費については、区の緊急雇用創出事業による受託事業として実施。また三輪スクーターや空き店舗活用については、都の新・元気を出せ!商店街事業の支援も受けている.。