商店街の帰りは“手ぶら”で楽々
~みのり商店会~



 大手ネットスーパーが売り上げを伸ばすなか、都内各地の商店街でも宅配事業が続々とスタートしている。【商品調達→ネット受注→電子決済→配達】をITで効率化・標準化する大手スーパーとは異なり、昨今の商店街の宅配事業では、【「まずは商店街店頭に来てもらう」→対面販売→対面支払い→配達】という流れが基本。地元客のライフスタイルに個別対応できる柔軟性や地域密着性を武器とした、商店街ならではのご用聞きビジネス・モデルを追った。

生鮮など無料宅配へ運送業者とコラボ
 商店街が行政、地元運送事業者とコラボレーションすることで、地域密着性と利便性を兼ね備えた宅配ビジネス・モデルを提供しているのが、葛飾区のみのり商店会(清水達太郎会長)だ。半径約1キロメートル範囲内居住者を対象に、宅配料無料で月-土曜(祝日含む)の午前11時-午後6時半まで、商店街のお休み処で受付および配達。受付要件は商店街での購入総額2,000円以上で、70歳以上もしくは体が不自由な方、妊婦・乳児連れの方については、「優待会員」として限度額なしで提供している。昨年9月のスタート以来、多い日には1日20件の受注があり、会員数も300名にのぼるなど地域に着実に浸透しつつあるようだ。
 同商店街の宅配事業の仕組みは、(1)各店で客が買い物・支払い→(2)店からの連絡を受けてお休み処スタッフが店から集荷→(3)お休み処スタッフが配達代行‐‐という流れ。とくに生鮮三品店が多く集積する商店街の特性により、品質管理の難しい冷蔵品についても、お休み処に専用冷蔵庫を配備する等で積極対応。冷凍品は対象外、飲料は1箱までとして、現在約30店舗が参加している。
 さらに宅配拠点として、空き店舗を利用した「お休み処」も今春に新設。その管理・運営については区が地元運送事業者に一括委託しており、専従スタッフ3名が来館者へのお茶サービスをはじめ宅配受付、配達時間調整、店への集荷、保管・配達などを担う。こうして地元専門業者に委託したことにより、宅配事業にかかる商店街側の負担が軽減できたうえ、利用者にとっては利便性の高いサービスとなっている。
 宅配事業による効果としては、商店街での買いまわり店舗数の増加や各店舗での買い上げ点数の増加などがある。さらに当初は地元高齢者層が利用者の中心だったが、「産後間もない乳児を抱っこしたお母さんが5店舗も回ってまとめ買いしていった」(お休み処スタッフ)など、口コミ効果で若い主婦層の新規顧客開拓にも効果を上げつつあるようだ。
 今回のお休み処の開設・運営および宅配業務は、国のふるさと雇用再生特別基金事業による受託事業との位置づけ。さらに今後も持続的に運営していくために、「お休み処内へのレンタル・ボックスや展示スペースの設置など、自立採算へ向けての収益事業も盛り込んでいきたい」(岩野明副会長)考えだ。